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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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93 :げらっち
2024/05/10(金) 11:32:09
楓は口チャックを閉めたまま喋らない。
するとエリートツーとかいう戦士が天堂茂に紙を渡した。
「茂さん、一般公開はされてませんが入手した順位表によりますと……」
「でかした。ほう!!」
それを見てゴーグルの中の奴の目は、満月みたいに丸くなった。
「学級委員長からのお知らせだ。伊良部楓の順位は、なんと、1000位だぞ!!!」
天堂茂に合わせてエリートファイブのメンバーたちは腹を抱えて笑い転げた。
公一も佐奈も豚もちょっと驚いたという顔をしていた。悪いけど私も驚いた。
楓は両手で顔を覆ってうつむいてしまっていた。
私は彼女の肩に手を置いた。
「……私は1001位だったから。仲間だよ」
途中退場で私の順位はビリとなったのだ。
「ひゃっはっは! 本当に落ちこぼれの集団のようだな!!」
天堂茂は笑い転げている。
「赤の居ないお前らなんか、戦隊でも何でもない、ただのゴミの寄せ集めなんだよ!」
「くたばれや!!」
空気が切れる音。公一が手に隠していた手裏剣を天堂茂に向け打ったのだ。
「お、お前ら僕を守れ!!」
天堂茂は悲鳴を上げた。エリートファイブのメンバーが彼を守る前に、私は手を伸ばし、親指と人差し指で飛翔する手裏剣をキャッチした。
「見事な車止めの術! ってちがーう!!! 七海! 何で邪魔すんのや!!」
公一は地団太を踏む。
「あなたを退学にはさせたくない」
刃を直接掴んだため、指先がじわっと熱くなった。血が滲み出る。
「挑発に乗っても無意味だよ。みんな、こいつのことは無視しよう」
「では戦隊ではないと認めるんだな? 色彩の無い、小豆沢七海」
「じゃあさ、こうしようよ」
私はとっておきの提案を思い付いた。
「コボレンジャーは戦ー1グランプリで優勝するから。そうしたら私たちの方がすごいって、証明できるよね」
その時、天堂茂の笑いは最高潮に達した。
「ぎゃっはっはっはっ!!!! 聞いたか! 今のは全校に放送して聞かせてやりたいくらい、傑作だったぜ! 優勝は僕たちと相場が決まっているだろう。お前らはどんなに頑張っても所詮、初戦敗退だろうな」
天堂茂は他の4人を率いて部屋を出て行った。
引き戸が閉まると、私はその戸に向けて、力任せに手裏剣を打ち込んだ。ガッと鋭い音がした。
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