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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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94 :げらっち
2024/05/10(金) 11:36:44
「死ね!!!」
楓が天堂茂に飛び蹴りした。
ガシャン!!!
天堂茂は倒れ、手足が外れ、バラバラになった。いい気味だ。
まあそんなことをしたら退学になるので、これは佐奈が即席で開発した「天堂茂ロボ」なんだが。
楓は天堂茂ロボの残骸をガシガシと踏ん付け、息を荒げていた。恨みは到底晴れないが、多少のストレス発散にはなる。
「あいつむっっっっっかつく! まっじで戦ー1で勝って泣きべそかかして退学にしてやろ!!」
「次俺にもやらせろや!」と公一。
「でも、勝算はあるブヒか?」
こぼされたちゃんこをかき集めて食べている豚が、胡坐をかいている私に尋ねた。
「ハッキリ言って、僕らには学力も戦力も経験も、まだまだほとんど無いブヒ」
豚は大柄な割に気弱だ。
「いつみ先生は、どんな手を使ってもいいって言ってた。単純な戦力なら負けても、立ち回りによっては私たちでも勝ち残れる」
すると、パソコンと見つめ合っていた佐奈が、画面をパタ、と閉じて言った。
「ねえ。残念な仮説を述べていい?」
「どうぞ」
「優勝は絶望的だと思うの」
そう単刀直入に言われた私の顔は、さぞかしムッとしていただろう。
佐奈は淡々と続ける。
「まず、学園に何個の戦隊があるかわかってる?」
「うーん」
考えたことも無かった。
「50くらい?」
「違うよ七海ちゃん。2000の生徒、400の戦隊ブヒよ!」
豚は屈み込んで、畳に染み込んだちゃんこの汁を舐めていた。
「うちと七海さんが話してんのに邪魔すんな豚!!」
佐奈は豚のでかい尻をキック。ブヒィ!!
「でね、優勝を狙っている戦隊はまず弱い戦隊から潰して実力を誇示していくと思うの」
「理解したけど、それはどの戦隊も同じ条件じゃない?」
「違くて。これを見て」
佐奈は《週刊☆戦隊学園》を取り出した。彼女もこれを購読していたのか。
「ここに学園の全ての戦隊名と、戦ー1の優勝予想が載っているんで見て」
私・楓・公一・豚は集結してその一覧を見入った。
王道なものから奇抜なものまで戦隊名がずらりと並んでいる。○○レンジャーが大多数、○○○マンや○○○○ファイブが続く中で、アーミー電兵隊、バトルボブスレーJ、ボインシスターズなど戦隊離れしているものまであった。
「オチコボレンジャーなんてまだましなネーミングやな」
「ましとは」
「でも状況は最悪だよ。ほらうちらの順位を見て」
コボレンジャーは、長~いリストのお尻のお尻に載っていた。401位となっている。
つまりシンブンジャー調べの優勝予想は最下位ということだ。
「なんでブヒ~~~~!!!」
「わかれ豚。名前的に弱そうだし、1年だし、クラス混成だし、寄せ集めの余り者って思われて舐められてるんですよ」
「実際にそうだからね。それが下剋上するんだよ」
私がそう言うと、佐奈は子供みたいに地団太を踏んで怒鳴った。
「あのね~、要点はそうじゃ無いの! これはつまり、どの戦隊も真っ先にコボレンジャーを潰しにくるってことですよ!!」
その台詞を言い終わるかといううちに、部室の戸がドンドンとノックされた。
「たのもう! 野球戦隊ホームランジャーっす! 試合の相手を願いたい!」
「芸術は爆発だー! コボレンジャーを倒すのは、前衛戦隊ピカソマンだ!!」
「無能な絵描き共はどけ! 落ちこぼれの相手は、このカロチン戦隊ニンジンジャーなり!」
「海魚戦隊ヒラメイジャー参上!」
「便乗戦隊リュウコウジャーも便乗!」
「排球戦隊バレーシックスも……」
「小説戦隊〆キレンジャー……」
部室の前に大量の戦隊が押しかけているようだ。最も潰しやすい戦隊を潰して弾みを付けようというわけだ。
「予言的中やな」
あちらから戦いに来てくれるなら、むしろ都合がいいではないか。
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