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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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96 :げらっち
2024/05/10(金) 11:41:29

「ねね、七海さん」
 目を開けると、小柄な黄色い戦士の姿があった。コボレイエローに変身した佐奈だ。ゴーグルの下は裸眼の三白眼。
 私の顎の下に頭頂がきている。改めて、小さいな佐奈は。ちょっとかわいいなと思ってしまう。ちっちゃいのはそれだけで武器になる。すると私の心をクレヤボヤンス、彼女は眉根を寄せた。
「ねえ、今ゼッタイちっちゃい、かわいいって思ったよね? そういうお顔してたよお見通しですよ。七海さん他人に白いって思われてどう感じるの? 口には出さなくとも同じ事ですよ。二度とそんな考えを捨てること。お約束できる?」
 私はたじろいだ。
「……約束はできないけどその言葉は忘れないよ。それは約束する」
「まあいいですよ」
 佐奈の両手が魔法により、プラスドライバーとマイナスドライバーに変化した。
「七海さんも変身してみて」
「わ、わかった」
 私はブレザーのポケットから戦隊証を取り出す。

「ブレイクアップ!!」

 すると佐奈は、私に狙いを付けて唱えた。
「UVカッター!!」
 ドライバーから電気が流れ、静電気を全身に受けたように、頭から爪先まで、バチッと衝撃が走った。
 しかし痛みはさほどなかった。
「外に出てみて」

 私は外を見た。
 あれ。

 さっきほど、日差しが邪魔じゃない。
 ゴーグル越しの視界はクリア。太陽光線がちょっかいを出してこない。明度も彩度も正常だ。

「今の魔法で、変身中のみ太陽の影響を受けなくなったよ」
「え、本当?」
「本当のはずだよ」
 私は目をぱちくりさせながら、恐る恐る、太陽の下に出てみる。イクチオステガも初めて海から陸に出る時、こんな風にドキドキしたのだろうか。片足ずつ日陰から日向に踏み入る。まるで地雷が埋まっていないか警戒するかのように。

 大丈夫だ。

 陽光は程良い明るさで私を照らしている。まぶしくないし、肌も痛まない。
 変身した状態ではあるがお日様の下に出られた。これは夢か?

 佐奈も後からついてきた。
「効果切れたらまた魔法かけるね? 副作用も無いはずです。学校のサーバーにアクセスしてちゃんと調べておいたから」
 佐奈がパソコンに憑りつかれたように見入っていたのは、このためだったのか。
 私は佐奈に走り寄り、屈んで彼女を抱きしめた。
「ありがとう佐奈だいすき!!」
「な、七海さん照れるよ!」
 私は涙ぐみながら佐奈を強く抱き締めた。
 楓も公一も豚も目を点にして私たちを見ていたが、やがて楓が「まじか、良かったじゃん! えも!」と言った。

 私はハグを終えると、遊びに行く子供のように、日差しの下を駆け出した。
「それじゃグラウンドまで競争だよ!」
「あっ待ってよ七海さん、うち走るの嫌いなんだよ」
「七海、フライングは卑怯やで!!」
 みんなが追いかけてくる。青空の下を走るのが、こんなに気持ちいなんて。

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