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62.長文コンクール
 ┗736

736 :迅
2021/07/11(日) 00:58:10

 俺は、挫折を知らなかった。
『すげー!もう自分のポケモン持ってんのか!?』
『いいなー!俺なんかまだキープだぜー!?』
 俺は、常に一番だった。
『ねぇ、今日もポケモン触って良い?』
『ずるーい!あたしもあたしもー!』
『みんな、仲良く順番を決めて触らせてもらいなさい。それで良いよね?』
 俺は、常に優秀だった。
『何と言う大番狂わせ!何と言うダークホース!今大会の優勝候補筆頭を下し、決勝戦への出場が決まったのは───!』
「……」
 ───そして二年前、俺は人生で初めての挫折を味わった。
 2013年、第25回チャンピオンリーグ。
 その優勝候補筆頭とされていた俺は、前評判にそぐわぬ快進撃を見せていた。そして、準決勝で俺と当たったそいつは、地区大会の優勝者だと言う。
『よろしく!良い試合にしよう!』
『……あぁ』
 だけど、俺は気にしていなかった。何故ならそいつは、片田舎の出身だったから。
 片田舎で行われる地区大会の規模なんざ、高が知れている。
 だから、俺は勝てる前提でいた。
 だから、俺は負けた。
『ごめん……。ごめんよ……!』
 その時の俺は、ただ泣いて謝る事しか出来なかった。
 自分の無力を悔やみ、パートナーに抱きついて泣き喚く事しか出来なかった。
 そして、俺が生まれて初めて『挫折』を経験したあの日から、実に五年の時が経ち───



「シンヤ、遅刻するわよー」
「分かってるよ!」
 少年は駆け足で階段を降り、テーブルの上に置かれたトーストを手に取り咥える。
「行ってきます!」
 そして、挨拶を投げた少年はトーストを口に咥えたまま家を飛び出す。

 ポケットモンスター、縮めてポケモン。
 彼らは人に寄り添い、時には家族として、時には友人として、人々と共に生きて来た。
 そして、時は流れて2021年。伝説のポケモントレーナー・レッドの活躍から約25年もの時が経った現在、また新たな旅立ちが始まろうとしていた。
「さぁ、行こうぜ相棒!」
 過剰強化《オーバードーズ》された旅が、今始まる!

───To be continued?

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