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91.マリルイ学園CGR
 ┗931

931 :迅
2020/10/13(火) 20:04:49

「死なない程度に……殺してあげる」

 巨漢の男・迅にそう告げた少女は、憤怒と憎悪が複雑に入り混じった瞳で彼を睥睨する。
 しかし、相手は腐ってもメンズスター幹部。少女の気迫程度で怖気付く様子はなく、逆にクツクツと静かに笑いを漏らしていた。

「なにか可笑しい事でも?」
「クハハ……!可笑しいとも。何だ?仲間の敵討ちってか?良いねェ、そう言う絵空事をぬかす馬鹿野郎ほど躾甲斐があるってもんよォ!」

 瞬間、身体を低く屈めた迅は、まるで弾丸のような速度で走り出した。その威力、速度共にダンプトラックに引けを取らないだろう。
 直に受ければ死ぬ。今思えば、CGRにいた時はこの手の攻撃は避けてばかりだった。
 だが、今の彼女は避ける必要はない。───否、そもそもこの程度の攻撃なら、回避に移る動作すら今の彼女にとっては無用の長物だ。

「死に晒せやァァァァァ!」
「……」

 迫り来る砲弾もかくやのタックル、直に受ければもちろん即死。しかし、少女は揺らめく水面のように構え、真正面から受け止めた。
 刹那、戦車砲の如き轟音が大気を震わせ、両者の衝突は大地を砕き土煙が舞い上がる。

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「きゃぁぁぁぁあ!」

警官を含む市民達は───ただ悲鳴を上げ、その場にうずくまる事しか出来なかった。

「お、おい!煙が晴れてくぞ!」
「ま、まさか……!?」
「いやぁ……!」
「!オイ、あれを見ろ!」

 衆人環視が集中するは、土煙の向こう側。

「何で……何で俺が、地面に倒れてんだ!?」
「自分がぶっ倒れてる事が……そんな驚く事?」

 少女の身体には傷一つ付いてなく、仰向けになって地面に倒れる迅は逆に無数の傷を負っていた。迅は眼を白黒させ、ある予想が脳裏をよぎる。

 「(受け流された……!?俺の攻撃が!?)」

 なんの苦もなく、まるで暴漢をあしらうように真正面から受け止められ、その刹那に満たない一瞬の間に無数の打撃を全身に叩き込まれたのだ。彼はフラつきながら立ち上がり、両手に持ったショーテルで一閃。彼女の首を刎ねようと薙ぎ払うが───

「何で当たらねェ!?」

 渾身のラッシュも、警官をまとめて薙ぎ払った拳打も、全て流れるような動きで捌かれる。
 迅の攻撃は次第に単調になり始め、一撃、また一撃と受け流されてはカウンターを叩き込まれる。しかし、少女の激流の如し猛攻は止まらない!

「(攻撃が速くなってやがる……!)」

 焦り故か攻撃に粗が出始める迅と対照的に、少女の技はスピードとキレが更に上がっていく。

「メンズスターだかギャングスターだか忘れたけど、楽にしてやるから安心して逝け!」

 少女は叫び、連打の速度を更にあげる。
 彼女の流星群の如き連打は、両腕を交差させ防御に徹する迅の肘や膝の関節部を始め弱点という弱点を的確に抉り、彼の巨体を地に押し倒した。

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