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91.マリルイ学園CGR
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933 :迅
2020/10/14(水) 22:10:54
「それで?本当に君があの大男を?」
「だーかーらー、さっきから何度も何度も言ってるでしょうが。私は被害者なんですってば」
「いや……過剰防衛ってのがあってだね……」
大男───迅との交戦から数分後、応援要請を受けた警視庁本部の警官が到着。当の迅はノックアウトしていた為、当事者の一人である少女は彼の代わりに取調べを受けている真っ最中だった。
「君、保護者は?」
「いないです」
「即答……」
ルルの乱雑な答えに、質問の悉くを雑に返された男性警官は顔を手で覆い、ため息を漏らす。
二人が戦った千代田区公園前はまるで戦争後のような惨状になっており、所々大きなクレーターがぶち空いていたのは言うまでもないだろう。
警官はため息と共にメモ帳とペンを取り出すと、眠たそうにあくびをする彼女に問いかける。
「とにかく、君の名前と住所……あとは通ってる学校名とかも教えてくれるかな?」
「チッ……言いますけど、変な事には使わないでくださいね?名前はルルです。院丁第二高等学校普通科2年、もぎたてフレッシュ16歳です。あ、後バイクの免許も持ってるんで一応見せときます」
少女……ルルは舌打ちをした後、カンペを読み上げるように棒読みで自己紹介を行い、制服の胸ポケットの中から学生証とバイクの免許証を提示。
メモを書き終え「一条だ」と名乗ったイケメン警官は、虚空を見上げてはポツリと呟いた。
「……話変わるけど、最近見なくなったよね」
「……何がですか」
「ほら、CGR……だったかな。ローカルVみたいなコスプレした人達の集団でね、娘が憧れていた時期があったんだ」
「もっとも、今となっては看護師を目指してるんだけどね」と、苦笑いを浮かべる一条警視。
どうやら。CGRは一部の人達からすると『突然どこからか現れるコスプレ集団』と思われていたらしい。まぁ、それに関しては否定しないが。
「それじゃ、僕は報告書書かなくちゃならないから本部に戻るけど、何かあったらここに連絡してね」
彼はルルに自身の名刺を手渡すと、ビシッと敬礼してパトカーに乗り込んで発車させる。
一方、ルルは一条警視にはどことなく既視感があり、その記憶の根拠を探り出そうと脳みそをフル回転させていたが、なぜか思い出せずにいた。
「(私は、あの人と会った事がある……?)」
中学校最後の夏、憎き悪友の取り巻き達にいじめられていたあの日、彼女を助けてくれた警官。
「(……いや、まさかね)」
彼女は一縷の可能性を振り払い、マフラーを風になびかせながら千代田区公園前を後にした。
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