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91.マリルイ学園CGR
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956 :迅
2020/10/18(日) 12:15:06
「お願い、もう一度……力を貸して」
風が木の枝を揺らし、木漏れ日が差し込むカフェのテラス席にて、深々と頭を下げる木村。
しかし、彼女の目の前に座る少女はまるで醜い物を見る様な目で、彼女を睨み付ける。
「なに……都合の良い事言ってるんですか……?」
「……」
「貴方達はあの時!私を止めようとしなかった!止めて欲しかったのに……『私には仲間がいる』って実感させて欲しかったのに!なのに今更になって『力を貸して欲しい』?ふざけないで!」
少女・ルルは怒号を上げ、テーブルを強く叩きながら立ち上がる。そして、彼女は木村の胸ぐらを掴み上げ、自嘲気味に歪な笑みを浮かべた。
「私、この5年間で気付いたんですよ……私が最後の、七つ目のキャスストーンだって事に!」
「!!!」
刹那、木村の身体がビクッと震える。
そこで彼女は確信した。
───ああ、やはりそう言う事か。【お前らは、私がキャスストーンだと言う事実を知っておきながら、自分で気づくまで黙っていたのか】。
「私は貴方含むCGRのみんなを恨みましたよ。だって……私にだけ教えてくれないんだもん」
「ちがっ……!」
「何が違うんですか?貴方達は私だけ知らなかったのをいい事に、笑ってたんでしょ!?バカにしないでよ!」
申し訳なさそうに目線を逸らす木村を押し倒し、ルルは修羅の形相で睨み付ける。
「私は……仲間なんて信じない」
そして彼女は、吐き棄てるように呟いた。
──────
一方、別のカフェでは襲撃の後に合流した玲子と琴の2人が、ルルの説得に行った木村を待っていた。
「キーさん……大丈夫やろか……」
5年経った今でも、あの日の出来事が瞼の裏に蘇る。
焼け落ちる木村の別荘、まるで陽炎の様に炎の中で揺らめく巨大な影、抵抗する事さえ許されない程に理不尽で圧倒的な暴力による蹂躙。
あの日、ただ逃げる事しか出来なかった玲子は、己の無力さを誰よりも嘆き、怨み、悔やんだ。
「ウチにもっと力があれば……!」
「それは違うでしょ」
琴は口から血を流す程に歯を食いしばる玲子にピシャリと告げ、彼女の手を優しくそっと握る。
「私もキーも、アイツには全く歯が立たなかった。全部貴方が悪いんじゃない、私達の責任でもある」
「でも……!」
「あの子(ルル)が戻って来さえすれば、こっち側の戦力は増強される。もっとも、戻って来るかどうかは全てキーの説得にかかってるけどね」
「!じゃあ───」
「きゃぁぁぁぁあ!!!」
「「!?」」
刹那、市街地に甲高い悲鳴が響き渡り、数秒後に爆発音。慌ててカフェから飛び出した2人の目の前には、両手にグレネードランチャーを持ったガスマスクの男が人混みの中央に佇んでいた。
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