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91.マリルイ学園CGR
 ┗958

958 :迅
2020/10/19(月) 20:40:15

 琴はキズナフォンを右手に構え、両腕をダラリと下げるガスマスクの男を見て舌打ちする。

「まさかアイツが来るなんてね……!!」
「なんや、琴の知り合いなんか?」
「少しね」

 琴に続き、遅れて左手に薄緑色のキズナフォンを構える玲子。そして2人はキズナフォンを持った手を前に突き出し、変身の合言葉を叫ぶ!

「「コミュニティアプリ、起動!」」

 刹那、玲子の足元に草花が生い茂り、琴の背後から紫色のドロドロしたオーラが迸る。そして2つは2人の身体を包み込み、緑と紫のスーツを纏った姿へと変える。
 対するガスマスクの男は、その一連の光景をただぼんやりと眺めているだけだった。

「草の猛者!ガールズグリーン!」
「病み上がりの武者、ガールズバイオレット」
「「キズナ戦隊!コミュニティガールズレンジャー!」」

 2人は名乗りと共に決めポーズをキメ、背後で謎の巨大な爆発が起きると共に名乗る。

「メンズスター突撃部隊隊長・ボーンクラッシャー」

 ガスマスクの男はボソボソした声で名乗り、すかさず4回、グレネードランチャーの引き金を引く。ガオンッ!と獣の咆哮もかくやの轟音と共に、ランチャーの砲口から放たれるは大質量の榴弾。
 ランチャーから打ち出された計8発の榴弾は、CGRの2人をチリも残さず粉砕する────

「プロテクトツリー!」

 しかし、そこはCGR。玲子は地面に拳を打ち付けると、巨大なもみの木が地面から生え伸び、降り注ぐ榴弾の驟雨から2人を守る壁となる。

「どうや!」
「ほう……」

 ボーンクラッシャーは両太腿のホルスターにグレネードランチャーを納め、腰裏に装備した鞘の中から大振りな2本のナイフを抜き放つ。

「遠距離戦は不利と判断、近接先頭に移行」

 彼は機械的な声色で告げ、獲物を定めた狩猟豹(チーター)の如く身を低く屈めた次の瞬間、玲子と琴が反応出来ない速度で跳躍した。

「「!?」」

 そして彼は2人の背後に着地。玲子も遅れて反応するが、遅過ぎる。

「早───!」
「亡べ」

 ボーンクラッシャーは玲子の喉元にナイフを突き出し、彼女は逃れられぬ『死』を覚悟した───

しかし

「!!!」

 突如現れた夥しい数の炎の槍がボーンクラッシャーの身体を貫き、数メートル程横にぶっ飛ばす。
 しかし彼とて簡単にやられず、吹き飛ばされる途中器用に受け身を取り、転がりながら起き上がる。
 そして折れたナイフを投げ棄て、代わりに両太腿のホルスターからグレネードランチャーを取り出した彼は、炎の槍が現れた方向を睨み付ける。

「ホンマか……!?」
「やったんだね、キー……」
「貴様は……!」

 ボーンクラッシャーと琴、そして玲子の視線の先には、燃え上がる焔を背にしたルルが立っていた。

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