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191.いろはに金平糖
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江/雪/左/文/字
10/08(木) 10:38
❅* 花色衣
其れは小/夜と共に、甘味を買い足しに足を伸ばした…と或る日の事。
五匹の虎と暖かな陽射しの下で微睡む、幼くも大切な者の為に菓子を贈りたいのだと珍しく強請る其の聲は…とても柔らかな物で。
何かを自ら望む事が少ない小/夜の其の変化を喜ばしく思いながら、淡い星色と海色の金平糖を買う事にしました。
帰り途、小道を並んで歩んで居れば香る花の甘やかな匂いに釣られて…誘われるが侭に寄り道を。橙色の花が敷かれた其の道は、小/夜の小さな足が踏み締める度により一層香りが強く成る様な…そんな気が、したのです。
花々を掌に掬い"…ごこに見せたい、"と小さな掌を一杯にした海色の頭を撫で遣れば、…空よりほろほろと注ぐ金木犀が跳ねた毛先に絡み、愛らしい花冠が彩る様子に思わず頬が緩んで、慌てて袖で隠しながら帰路へと着いた先の刻。
縁側で転寝をする貴方様と、其の程近くで障子が開け放たれた先に眠る五/虎/退殿に、虎と云うものに昼寝は付き物なのだと云う事を知り顔を見合わせ咲っては、温かな眼差しを小さな虎へと送る我が弟の背が貴方様と合わさる様を…唯々、愛おしく思いました。
ゆき、と掠れた低い聲に視線を戻せば…何時の間に目が覚めたのか、飴色に宿る淡い光が私を映すと共に幼子にも似た体温が身体を包み込み、微睡みにそっと伏せた瞼の裏に降る唇が…秋霖の様に私を癒して。
凛乎な貴方様が、こうして甘えて下さる度に幸を覚える私は…果たして正しいのでしょうか、?
花色衣がある限り、…貴方様が私を求めて下さるのならば。
眩暈がする程の甘い香りも、纏ってみせましょう。
──ほろりと零れ落ちた橙が指先で結ばれ…流れる川に其の身を任せる行末は屹度。屹度、
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