日記一覧
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191.いろはに金平糖
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5 :
長/曽/祢/虎/徹
06/26(金) 13:09
✾* 幸
『また必ず巡り合おう』
その契りを寄る辺に、幾つもの生を繰り返した。
時におれは幼子で、あるいは異国の青年で……この世に生まれ落ちる度、たまゆら共に在ったあの、美しく青い瞳の輝きを捜したものだ。
四ツ辻を折れる度、春霞にたゆたう着物の裾を。
寝ぐらの灯りを落とす度、涼やかな風鈴の音に混じる穏やかな寝息を。
小間物屋の前を行き過ぎる度、冷たさを増した風に舞う艶やかな髪を。
寝ずの番の度、指折り数えた夜空の星を見上げる白い横顔を。
漸く、また巡り合えたお前の名は。
同じ音色を持ちながら様々な意味を成す、おれの愛した者の名は。
『ゆき』
待たせたな。おれも、待ち侘びた。
今宵、お前の元へ還ろう。
あの日数えた夜空の星を、小さく砕いた菓子を手土産に。
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