秘して黙する
自分が周囲に行う行為はその全てとは言わずとも大概自分自身にもされることを想定して選択しなければならない。つまり相手に隠し事をするなら当然自分もされる覚悟が無ければならないと思っている。──…あんたは隠した、無かったことにした。それなら俺自身もそう在る事に何ら異議はないだろう?俺が腹の底で何を考えていようが、どんな本音を抱えていようが、あんたはその目に映る俺を捉えていればいい。
そうやって互いに表面上の顔を窺って続ける関係は良好と呼べるだけのものかどうか…それは俺にも判断が付かないがな。
感謝してくれる事は有難いと思っている…ただ、今の俺にはあんたが何故そうやって礼を言うに至るほどの感情を持てたのかは理解が出来ない。──…悪いな。