日記一覧
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262.備忘録
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132 :
膝-丸
02/28(日) 22:28
うすみどり、と、呼ばれる日を怖れている。
長く刀をやっていれば、それだけ当然縁は増える。
あちらでああ呼ばれ、こちらでこう呼ばれ。
兄者が俺の名前を思い出せないというのも、どの名が正しいのか分からない、という所も有るんだろう……多分。きっと。そうあってくれ。頼む兄者。俺は兄者を信じているぞ。
うすみどり、と。
そう呼ばれていた頃の刀達との、多くの縁は途切れてしまった。
ほんの少しだけ、残っている物もあるが。
途切れてしまった? 否、俺が斬ったんだったか。どちらでも同じか……。
だが、奴等も刀、我等も刀、何れ何処かで相見える日が来るのでは、と、思いもする。
いつか何処かで俺の事を、うすみどり、と呼んで親しんでくれた彼等と。
今の姿で顔を合わせるのには、とてつもなく勇気が要る。
何せあの頃は若かったのだ。生まれて間も無く、持ち主が持ち主なだけに鼻もこれでもかと伸びていて、今思い返してもその青臭さにうんざりする有様だった。
あの頃の詳細を昔話として語られたら、と思うだけで、浮き足立つような心地になる。
どうか、もう二度と、うすみどり、と呼ばれる事が無いようにと。俺は祈って止まない。
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