気付けば躑躅が枯れて、紫陽花が咲き誇っていた。時の流れが早すぎる。
過日、友人に誘われて久々に茶会へと足を運んだ。
昔はそれこそ毎日の様に彼方此方の茶会に顔を出して、社交的に振る舞っていたものだったけれど。
一度、細-川の家を離れてからは、すっかりその頻度が落ちてしまっていてね。
基本の作法を何度かさらい直してから向かう程に、久々の茶会だった。
といって、茶会自体は別に格式張ったものではない。
友人と、その恋人が、僕に会いたいと言ってくれた為に設けられた席だ。
別段何か特別な用が有る訳でも無く、ただ三人で近況など語り合い、談笑するだけの場。
にも関わらず、僕の緊張は留まる所を知らなくてね。随分とみっともない姿を見せてしまった、と思う。
その中で、友人がぼそりと呟いた。
「全く君ってば、相変わらず……」相変わらず。
その言葉の、何と面映ゆく、嬉しい事。
彼との付き合いは、それこそ数百年に及ぶわけだけれど、彼はその長い付き合いの中で、僕という存在を揺らぎ無い一つの刀としてきっちりと捉えてくれているのだと、その一言で分かってしまったから。
変わらず長く傍に在って、同じ目で見てくれる友人というのは、良いものだね。
改めて、手元に有る数少ない縁を大事にしようと、そう思えた。
>>>318おめでとう。そうか、君にも春が来たんだねえ。実にめでたい。
恥ずかしがり屋の君の事だ、大事な一人の事はひょっとすると余り帳面に記されないのかも知れないけれど、こっそりと見守りつつ、君達の前途に幸多からん事を祈らせてくれ。