日記一覧
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262.備忘録
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146 :
加-州-清-光
09/11(日) 18:03
日々の疲れを癒すのに、可愛い物は重要だ。
って事で、ちょっと小間物屋を覗いてみて目に付いたのは、つまみ細工の簪だった。
簪。俺の後ろ髪でも使えない事は無いよね、自室で使う位だし、と、値段を見て動きが止まる。
職人手製の物とはいえ……いやいや、え、そんなすんの? ほんとに?
固まった俺を見て、買い物に付き合ってくれた堀-川-国-広が言った。
「つまみ細工、結構簡単だよ? 自分で作ってみたら?」
そう言って渡されたのは、木工ボンドと縮緬。
……ボンドで止めてんの。マジか。
どうやら、縫うやり方と接着するやり方が有るらしい。
縫うより接着する方が初心者向けって事で、こっちをすすめてくれたみたいだ。
昔はどーだったんだろうね?
糊よりは縫って作ってそうな印象だけど、生憎間近で見た事ないからなー。
とりあえず、堀-川-国-広に貸して貰った指南書に沿って、布を切ってみる。
幾つもの正方形の布っきれが花になるんだから、手芸ってすごい。
切って、折って、貼って。重ねて、折って、貼って、返して……。
30分程度で出来る、と書いて有ったにもかかわらず、何とかそれらしい形になったのは、一時間以上経った後だった。
その上、花弁は不揃いで不格好、練習したものだからと自分で使うのなら充分だけど、売り物には到底出来ない代物だ。
成る程そりゃあ高くつくわ……って、すげー納得。
人間の体の構造は、基本的には一緒だ。
頭があって首が有って、胴が有って四肢が有る。生えてる指の数も、十ずつを上回る事は殆どない。
だからさ、勘違いしちゃうことがちょこちょこ有るんだよね。
俺に出来るから出来るはず、あいつに出来るから出来るはず。
だって同じ体で、同じ機能を有しているんだから。
それに、上手い人は本当にちゃちゃっとやっちゃうからね。料理も、細工も、武道も、色んな事を。
簡単に見えちゃったりするんだよ、これがまた。
でも、それってとんでもねー勘違いでさ。
小間物一つ作るにしたって、沢山の練習を重ねて指先に感覚を教え込んで、それで漸く作れる様になる。
だから職人の作品ってのは、そういう今までの鍛練の時間も込みのお値段って訳だ。
そう考えると寧ろ、適性どころか安いと思える位の値段だった気がする。
今回の事は良い勉強になった。
けど、結構楽しかったから、やっぱり買うんじゃなくて、自分好みの物が作れるようになるまで頑張ってみよっかな。
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