日記一覧
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262.備忘録
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151 :
加-州-清-光
02/24(金) 00:14
さみしい。
そう口に出したら、思いの外しっくり来てわらっちゃった。
寂寞、寂寥、寂若無人、他諸々。
この「寂」という字は、屋根の下で人の声が細く小さくなった様云々……なんてのは、歌-仙のお得意分野だから、置いておくとしても。
一人ぼっちは寂しいって事を、知ってる刀はきっと多い。
蔵の中、自分以外みんな大人しくって話し相手にもならない、とか。
ぽつねんと床の間に飾られて、掛け軸は書き上がったばっかりで、とか。
他の連中は討ち入りに連れて行って貰っているのに、自分は寂しくお留守番、とかさ。
屋根の下、自分の声だけが、か細く響く空間を想像してみる。
さみしい、こいしい、つらい、くるしい、だれか。
そう呟いても、壁にぶつかって落ちるだけで、外に漏れる事もない。
それって結構にしんどい事だってのは、俺みたいな若造にも想像は付くよね。
もし、そんな空間に、一つ手が差し伸べられて。
話を聞いてあげるよ、一緒にお茶を飲もう、君を使ってあげよう、なんて甘言が囁かれたら。
その手を握って、引き摺り込んで、俺を可愛がって、俺だけ愛して、なんて。
そりゃあもう我が儘三昧になりそうな予感がする。
装備したら外せません、呪いのアイテムです、一生愛してあげてください、なーんてね。
それって俺の美学に反する。だって全然可愛くないもん。
さみしい、が呪いになる前に。
おいしいものを食べに行って、誰とも知らぬ誰かの話を聞きに行こう。
茶器が良いかな。掛け軸でも良い。ああ、嫁入り道具の連中でも良いな、綺麗だし。
そうしてさみしいを蹴散らして、力強い声で笑っていたい。
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