日を跨ぐ遠征の後は机に向かう気が失せるな。
出陣を終えて部屋に戻ると目を凝らす迄もなく不審な毛玉の気配を察知した。と言うより俺の布団に転がっていた。猫が。
金の目をしたその獣は病か怪我か、片目が潰れていたが随分と懐っこく耳の裏を掻いてやると喉を鳴らして喜んだ。
ついでに最近青.江派の脇差から聞いた「猫は尻尾の付け根を叩くと喜ぶ」というのを実践してみたが、どうやら本当だったらしい。
猫に色気を感じたのは初めてだ。
しかし出ていく気配がない。今もまだ布団の真ん中で丸くなっている。どこで寝ろと。
仕方がないので新しい布団を押し入れから引っ張り出して寝ることにする。
朝飯を食ったら帰れよ。