戻りが遅い。
ここ何日か、あれが出陣から戻るのが遅くなっている。あれは夜目がきかない。
日が落ちてから戻るあいつの姿を見ると腹の奥がざわつく。
お前の役目は昼だろう。日が落ちるまで戦っていたのか。お前の輝きは、切れ味は鈍っていないか。疲労は。
不満はない。采配は主だ。そして、俺達は主の刀だ。主が望むだけ己を振るい、主の道を切り開く。
だが、不満はなくとも不安はある。
あれとの付き合いも長い。俺と過ごす時間であれがいくらかでも気を楽にすることを知っている。
だから眠くないと言うのであれば余程でなければ好きにさせているが、傍に転がした途端に寝入るというのはやはり、疲労しているんだろう。
早く寝かせてやりたいが、僅かでも交わす言葉は互いの活力になる。
ままならないものだな。
明日も、あいつの目覚めが健やかであれと思う。