肉体に籠る熱は各々に相違が有るらしい。彼奴の体躯が発する温度は俺の其れ依りも高い。触れ合わせた箇所から緩り、熱に侵食されて往く。「長谷部君の手料理が食べたいな。」互いの手袋越し、柔らかな所作で手甲を撫で乍ら人好きの良い笑みを浮かべる彼奴に、一応、と要望を訊けば律儀に返答をするものだから此れも鍛錬が必要だと、…要するに絆された。