今日は惚気でなく、少し重たい話を。
人の命とは儚いものだ。
黒い中に混ざり黒に染まってぼんやりと僧の読み上げる経を聞きながらともに過ごした頃の記憶を辿る。
笑顔
優しい声
悲しそうな顔
怒った顔
未だ鮮明に残るこの記憶も時と共に薄れていってしまう。膨大な時の数字の中に埋もれて埋もれて霞んでしまう。
…前の主や…周りの人間…刀である以上沢山見届けて奪ってもきたものなのに…人が散り逝く最期というのはどうにも見慣れない。
それでも前を向いて行かねばならぬ。曇りなきなき刃のように心も研ぎ澄まさねばならぬ。辛く悲しい気持ちに沈みかけた俺を優しく包んで引き上げてくれた彼奴に感謝を。