日記一覧
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480.明くる日
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224 :
大_倶_利_伽_羅
07/23(木) 02:04
日毎に増す忙殺の空気と圧迫にお互い息を切らし、それでもこの時間だけは毎夜手を握り輪郭を確かめて互いの存在に安堵する。
嵩む疲弊で言葉少なになった夜も、それなりに越えてきた己だからこそ、いざ彼奴が疲弊に耐え切れずに逃げ出したくなった時は、その手を引っ掴んで、遠い水平線の向こうまで、連れ出したいものだ。
明けた日には笑った顔が見たい。
四年以上俺が願う唯一の、変わらない望み。
◇
誰が見ることも、もう無いだろう。
ずっと口にしたかった、記したかったことがあった。
『 夜話と鈴 』の光忠は、俺の唯一であり、
俺は『 箱庭 』に属し刀、光忠の恋人だ。
◇
一度くらい、本当は、あの頃、あの中で。
俺のものだと叫んで、泣いて、嫌がって。俺の光忠なんだと、誰かに、彼に、彼奴に、奴等に、堂々と胸を張って、俺が好きなのは夜話のあんただと、あんたが好きなのは箱庭に棲む刀だと、声を枯らしてでも、口にしてみたかった、
もうなにもなくなった廃墟の図書室。
いずれ崩れ行く定めなら、今日この日を持って、永劫の宣誓をしてもいいだろう。
俺はあんたのもので、あんたもまた、俺のものだと。
◇
熔ける夜に浸りたい、
水底深き函底の、静かな夜の月を連れて、ふたりその函底に沈みゆきたい。
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