話すようになって幾許か。まだ友刃として共にあった頃。赤疲労の彼が部屋に来たことがあった。求められていなかったろうけど、その日は半ば脅迫に近い物言いで彼を寝かし付けた。赤疲労顔を前に夜更かしに付き合わせるような趣味は僕にはないからね。ちょうどその時に、『魘されるんだ、』と。はっきりと、彼の口から聞いた。目が覚めた時に声が掛けられるように、その日はそばで夜を過ごした。それを聞いてから、なんとなく、『お休み』を告げるのを躊躇うようになった。魘されるのなら、寝たくない気持ちは分かるから。だけど寝るべきなんだろうなあとも、思う。だから代わりに違う言葉を添えた。それを優しさだと称された時は、なんだか戸惑ったけど。君がそう言うのなら、それでいい。君が穏やかに、眠れていますように。また、明日。
◆
何処にも行かない。此処に、そばにいるよ。
◆
そばにいさせてくれる、帰って来てくれる、好きなのだと言ってくれる、言わせてくれる。全部が嬉しくて、ひとつひとつが幸せだ。出逢えて寄り添えたことを君が奇跡で幸福と呼ぶのなら、僕の幸福はすっかり、君のかたちをしているんだろう、な。眠りに閉ざされた目蓋を眺める時間さえ、君がいるのなら。しあわせだ。
また明日、変わらずそばに。[
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