日記一覧
┗
480.明くる日
┗87
87 :
大_倶_利_伽_羅
01/24(日) 01:26
同じ場所ばかり辿っている。
手を伸ばして。触れて。なぞって。引き寄せて。それでも満たされなくて。足りなくて。縋って。どうしても。どうしても欲しくて。欲しがって。
この頃の彼奴と俺は、ただ只管にそんなことばかりを繰り返していた。満たされない空白にどんな想いを宛がおうとも、どれもがその空白とは、かたちが合わなかった。空白の隙間も、宛てがう想いも、何もかもがどうしても合わない。決して言葉が足りない理由では無いはずなのに、どう言葉にしても気持ちには辿り着かなくて。納まりが悪くて身動いでは、満たす場所を探していた。只管欲しがって、泣いて。忙しない程に、揺さぶられている。
『愛してるじゃ、たりない』
どうしよう、と零す声が甘ったるく響く度、俺がどうにかなりそうで。どうしようか、どうしようもないなと、勝手に独りごちては腕の中に逃げた。逃げているようで捕まっている自分が、少し可笑しいとも、思った。
なあ、甘えて欲しいと言うあんたの声に身を寄せている俺はもう──とっくの昔に溶かされているんだ。
なくしかけた俺の輪郭は、……あんたの指先で、なぞっていてくれ。
◇
繰り返し。繰り返し。
掌を引き寄せる。
温度を伝って、言葉に出来なかったものが、
どうかあんたの許へ、正しく流れます様に。
[
削除][
編集]
[
戻る][
設定][
Admin]