日記一覧
480.明くる日
 ┗95

95 :大_倶_利_伽_羅
02/06(土) 03:43





『こうしていたい』とは、余り口にしない。
こうでいたい、や、こう在りたい。喩えるなら、傍に居続けたい、だとか、ずっと隣に居たい、だとか。
希望的観測が孕むものを、無意識の内に避けている。それは神頼みの様で、宛ら他力本願にも等しく思えて、しかしそれが悪いわけでも無いことを理解はしているから、代わりに口にする。想う。『傍に居る』。『隣に居る』。だから、傍に居てくれ。隣に、居てくれ。

それでも。
時折それでも、矛盾が生じる。存在し得ない事象に、理由もなく乞い願う。毛嫌いする希みを以て、ただ祈るように。
この身に宿す意味がいつか、人間にも満たす日が来るのなら。
傷付けるだけでしか生きられないこの刃でも、俺は。許されるなら、かたわらで息衝く、眠る彼奴の眼窩に降る、その安寧を守る為の、刀で在りたい。




頬に触れる。なぞって、撫ぜる。
何時に起きるかを訊かなかったな、だとか、随分眠そうにしていただとか、茫洋と浮かべつつ、あんたが寒くないようにと抱き寄せる。腕の中で、出来るだけ目覚めない様に、身じろぐ。少しだけ高い位置にある寝顔に、祈る様に口付ける。
その夢路が、どうか穏やかで在る様に。


おやすみ、光忠。また、明日。
おはよう、大倶利伽羅。 今日も、君が好きだよ、

……おはよう、光忠。俺も、好きだ。




待っていて、と言われるのが、存外好きだったりする。
……あの雨からもう、八ヶ月も経ったのか。

今日まで傍に居てくれたあんたに感謝を。



[削除][編集]



[戻る][設定][Admin]
WHOCARES.JP