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494.犬に関する覚書。
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へ_し_切_長_谷_部
09/14(月) 20:38
あれから直接強請られたため、指輪を用意してぷろぽーずとやらをする事に決定した。
当然だが、指輪には様々な形があるらしい。宝石と呼ばれる類の金銭価値のある石がついたものから、同じく金銭価値のある貴金属を使った質素なもの。なるほど、指輪とはかくも値の張るものらしい。
俺はあまり好かれる類の刀ではない。無愛想だし、気遣いも足りんし、鈍感で気紛れだ。恐らく、物好きにもこの帳面を開き中身を覗いた連中の九割は、こんな奴を恋い慕うのはやめた方がいいんじゃないかと心中であれに同情の念を寄せるだろうと思う。主は心優しいお方だから、そんな事はないと仰って下さるが。
あれは俺を優しいと言う。俺にはその理由が分からん。一つ一つ掌に落とされるまろい恋情をこの身の血肉とすべく噛み砕く事も出来ず、零れ落ちていく甘い色をした一片が地へ舞い落ちるのをただただ眺める事しか出来ん男だ。噛み砕き、嚥下し、そうして初めて俺の感情と出来るのに、掌を埋め尽くす感情の欠片を見下ろしてこれはなんだろうと思うような男だ。これを優しいと評するなら、主やあれなど優しさの権化だろう。
俺がいい、とあれは言う。散々柔い心を傷付けられ、美しい肉体に無体を強いられ、それでも、と言う。そうまでして俺を求める理由が分からん。
可愛らしい犬の姿をした飴を見付けた。飴細工というものは、作る工程を見るのが面白い。あれに買っていこう。
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