日記一覧
494.犬に関する覚書。
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6 :へ_し_切_長_谷_部
09/08(火) 20:28


今更だが、あれは犬扱いされるのが嫌らしい。この帳面ではあえて犬と記しているが、実際はきちんと刀として向き合っている。
だが、今までのあれを見ていると犬という印象が強いし、見えない筈の尻尾が見える。感情が分かりやすい。…可愛らしい、と思う俺の目は、些か不具合を起こしているのかもしれん。好意という名の、不具合を。

恋、というものが分からんまま、あれを腕の中に囲ってしまったが。
それでも嬉しそうなあれの心を、俺は今後も傷付けてしまうんだろう。何気ない言葉にもあれの心を傷付ける種は潜んでいるようで、俺にその意思がなくとも、あれに手渡された時点で指先を突き刺す棘が芽生える事は多い。全く難儀なものだ。
そう思いながらも棘を抜き、溢れる血を啜って傷を消すのをやめるつもりはない。それをやめたら、互いの思考がすれ違い、指どころか全身が血で濡れ、お前は土塊に還ってしまうだろうから。その程度の想像ならば、俺の頭でも可能だ。
だからあれの言葉に含まれる感情が僅かでも負へと傾いたのを感じたら、出来る限り己の言葉とあれの言葉の齟齬を探る。そうして棘などなかったんだと分からせなければ、肌に食い込む形のない棘はあれの心の臓まで達してしまうんだろう。涙で溶かせるものではないそれは、足りん言葉でそれを生んだ俺の手でしか取り除けない。


主は仰った、お前が彼との未来を望むのならば、大事に慈しみなさいと。何があっても向き合う覚悟で抱き締めなさいと。
主。覚悟ならば、きちんとしておりました。恋は知らずとも、折れて朽ちるその時まであれを大事にする覚悟をして、この頭を下げに参りました。
主。主。…どうかその眼で、見守っていて下さい。俺が道を間違えてしまわぬよう、あれを大事に出来るよう、どうか。

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