日記一覧
494.犬に関する覚書。
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7 :へ_し_切_長_谷_部
09/09(水) 20:14


地を蹴る。柄を握る指に力が籠もる。振り上げて、袈裟懸けに。返す刃で腹を割き、首を落とし。
戦場を駆ける時は、どうしようもなく血が騒ぐ。切っ先が肉に食い込む感触は、記憶というあやふやな影と重なり混じり、馴染み深いものだと思い出した肌が震える。やはり俺は刀だ。血が、肉が、刀身を汚す感覚が、堪らない高揚を齎す。

あれは戦場の俺が好きらしい。笑顔が、とか何とか言っていたが、俺には理解出来なかった。
今改めて考えてみると、あれの刀としての部分が、人の器に在りながら刀としての魂を晒す姿に反応したのかもしれん。共鳴、とでも言うんだろうか。俺の刃が振り下ろされ、刀である事実を吼える振動に、あれの刃が震えた結果の好意。

ぷろぽーず。求婚、という意味らしい。
そんなものをした記憶はない、と答えると、主が顔を引き攣らせた。大事な事なんだからちゃんとしなさい、と噛んで含めるように仰られていたが、どちらかと言うとぷろぽーずとやらをすべきなのはあれの方ではないだろうか。先に言ったのはあれだった、筈だが。…しかし、主のお言葉には従うべきだろう。主は正しいのだから。…さて、どうすべきか……とりあえず調べてみるか。

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