日記一覧
650.喫煙所
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45 :大/倶/利/伽/羅
10/23(金) 16:36

今日はあいつが出陣。俺は非番を貰った為、暇潰しに少し綴ろうと思う。

俺たちは非番がかぶらない。あいつは土日、俺は平日。
しかも俺は基本かなり遅くまで出陣をしている事もあって、話をする時間は限られている。
互いに鍛刀されたばかりの頃は何とも思っていなかったが、こうして恋仲になると、その時間のズレが酷く勿体無い物に思えて来る。

暇潰しの仕方も忘れてしまった。
あいつに出会う前に読んでいた本や浮世絵、主に貸し与えられていた映像の娯楽(映画と言うらしい)もほとんど頭には入って来ない。結局少ない身の回りの整理を終えた後、あいつからの文字に再び目を通していると1日が終わってしまう。
…先日あいつにそれを言ってみたら、「僕も同じような物だよ」と困ったように笑って返された。

寂しい、と言うのは勿論ある。はやくあんたと話したい、触れたい。…キスをしたい。しかし、そんなものはあいつが俺の隣にいても湧き上がってくる欲望だ。
だから、俺は考え方を少し変えてみる事にした。
寂しいのは、俺があんたを、あんたが俺を考えてくれている何よりの証だから。だから俺はあんたからの言葉をなぞってただ待つ。この切ない感情を抱えて、俺はこの無為な1日を噛み締める。
…出陣から疲れた顔で帰って来るあんたを出迎えられるように。嗚呼やはり俺はあんたが好きで好きでどうしようも無い奴なのだと、抱き締めた瞬間、すぐに感じられるように。
パンの生地を作った時に、発酵の為寝かせるのに少し似ていると思う。あの時間が無いと、きっとパンも俺たちも駄目になってしまうだろう。

もうすぐあんたは帰って来る。
行儀よくしていてやる。作った菓子にも手は出さない、寝台も片付けた……早めに、風呂にも入ろう。
…だから、健気に主人を待つ哀れな俺に、疾く褒美を寄越してくれ。…俺も明日は、あんたに早く出迎えて貰えるようにするから。


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