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653.それは
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77 :
鶴/丸/国/永
12/07(水) 17:26
幾らか日が経った話ではあるが、この帳面が彼の刀に知れた。正確に言うと叩き付けた。
記憶も曖昧な上思い出したくも無いから詳しくは綴れないが、俺が少しばかり癇癪を起こしてな。いやあ、あのまま捨てられても何の文句も言えないってのにきみはつくづく変わりものだ。これでも感謝してるんだぜ。そうは見えないかも知れんが。
と、いうわけで。おーい、きみ、見てるか?随分綴らずにいたから気付かないかも知れないな。ま、きみが気付こうが気付くまいが、俺はこうして思うままに語るだけさ。
筆を握る刀によって手が変わるのは当然の事で、例えば相対するのが他の刀ならまた事情も違ったかも知れない。一つ内緒で教えてやろう。俺を押しやってきみとの時間を手に入れたあれは、随分と素直な刀だぜ。嘘は吐けないが、言葉で飾る事も出来ない。
もう一つ手の内を晒すなら、素直である奴は弁が立つ奴よりよっぽど難しい。刀は振るわれてこそ、さ。自身を大切にするより、いかに扱い易くあるかの方が重要なんだ。そんな刀に宿る人格ってのは、自ずと見るもの、持つものの期待に沿うようになる。……自分自身、なんざ何処にもないのさ。
だから、なあ。答えが出せずに沈黙を選んでも、どうか急かさないでくれよ。きみが差し出す問いは、何時だって難し過ぎる。彼の刀なら尚更。撒いた種が育つのを見守る位、気長にいてくれれば嬉しい。
さて、纏まりがない考えを吐き出していたら腹が減ったな。きみが戻るまでに何か摘むものがないか、厨を覗いてこよう。
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