日記一覧
70.滅紫の黎明
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13 :へ/し/切/長/谷/部
06/02(火) 01:47


ああ、それは今まで歩いてきた轍なんだと、そう思った。決して緩やかではなかった。泥濘に足を取られて、躓いては転んでの繰り返しで。何か尊いものを失っては立ち止まって、過去を偲び惜しんで、時には慟哭しながら痛む身体を引き摺り、漸く此処まで来たんだと。傷が付けば付くほど磨かれ輝きを増すそれは、いつしか俺の中で在ることが当たり前になっていたらしい。塞ぎ込んで地面を見詰めていた瞳が、もう一度天を仰ぐこの瞬間をしかと見届けたい。過去への決別と、未来への一歩を。

愛してくれるか、だと?

愚問だな、骨の髄まで愛してやろうじゃないか。骨が軋んでその唇が痛みを訴えようとも、離しはしない。


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