時間が過ぎるのは存外早い。気付けば湿った土の匂いが立ち上る季節になった。雨粒が紫陽花の尖った広い葉と薄紫の蕚を叩く音が響けば、僅かに頭部に痛みを覚える。この花を見ると、もうそういう時期なのかと染々思うな。
この花は土の性質によって蕚の色を変え、酸が強ければ強いほど、赤く染まる。逆もまた然り、だ。 本丸にも裏庭の垣根の辺りに少しばかり植わっているが、この幅広の葉はどうも蝸牛にとっては居心地が良いものらしく、蝸牛の長屋が出来上がっている。短刀達がよくつついているが、気を付けないと紫陽花には毒があるぞ。