日記一覧
70.滅紫の黎明
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27 :へ/し/切/長/谷/部
07/02(木) 01:11


埃を被っていたそれに記されていた文字。繙く様に全てが繋がり、蘇る。古傷の疼く様な体温、匂い、声、全てが。掬いきれなかった欠片は知らぬ間に掌から零れ落ちていった。いっそ底が抜け落ちて、全てが跡形も無く消え去れば良かったものを。僅かに残った欠片を這いずり回っては血眼で探す自身の姿たるや、なんと未練たらしく惨めなことか。変えられる筈もないのに、未だに過去の自身を責めては薬指を撫でる。俺の手元に残ったのは、色褪せた天色の髪紐と嘘。 

どうしてこの身に爪を立てては、真新しい傷を作っていくんだ。後ろを見て前に進んでいくなどと器用な真似は、俺には到底出来ないというのに。


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