日記一覧
89.モトカレはせべ
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115 :へ_し_切_長_谷_部
07/11(火) 11:14

光_忠がばびゅーんとしていたので、俺も倣うことにした。
そういえば俺はものを捨てられないタチだという話をいつか光_忠がしていたが、正確に言えば捨てられないのは想いなのだと思っている。
手書きの手紙。メモ用紙。花束。割れた茶碗。亀の落書き。履き古した靴。いらないと言われた旅行のパンフレット。

途中で終わった日記帳。

どれもこれも捨てられないのはそれそのものに金銭的価値があるからではなく、そこに自分が触れた想いがあるからだ。俺が引っかかるのはいつもそこだ。他人からどう見えようが、いかに無価値だろうが、俺にとってそれが触れた瞬間に何かを思い起こすものなのであれば、しつこく手元に置いておく。そうすることでどうともならないが、俺は折に触れてそれを手に取って、単に眺めたりする。美しくもないし、ひからびて埃にまみれたそれらを。
それが俺の世界だ。他人から見れば価値がないからこそ、俺だけが認めうる俺だけのもの。俺は俺のこういう感覚をよしてしている。

この日記帳はその中でも気に入りのもの、なのかもしれない。
光_忠が楽しそうに綴っているし、俺もこの日記帳を読むと、筆不精せずもっと書いても良かったのにな、と思う。
それにしても、今読み返しても俺は相変わらず言葉足らずの傾向があり、光_忠の言葉はきれいだ。どんなに気持ち悪いシモネタを放っていても、それは変わらない。

最早誰も読んでいないだろうこの帳面が再び開かれて、新しい日々を少しだけ綴るのも悪くはない。
うん。悪くないな。

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