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89.モトカレはせべ
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98 :へ_し_切_長_谷_部
02/01(月) 11:54

ばびゅーん。
元気な方の元カレ、長谷部だ。

>TTT

昔々、光_忠がそれなりの金額の入った袱紗を握りしめて、「君の一日を買いにきました!」と言ってきたことがある。その勢いに反して、目は、寂しそうだった。
俺は物だが、物ではない。金では売れない、と答えた。俺はその昔、今よりも口数が少なく、そして言葉足らずだった。売れない、と。そう言えば、きっと光_忠は、わかってくれるに違いないと、そう思っていた。
今思えば、俺も傲慢がすぎる刀だった。結局光_忠は、「どこに行けば長谷部くんを買えるの?」と、何度も何度も繰り返し、袱紗を握りしめたままだった。俺は、一度も受け取らなかった。
上等な袱紗が光_忠の拳にした指でひしゃげてしまうのを、じっと見ていた。

本当は、金で買われても良かった。
それはただの金じゃない。光_忠が戦場を駆けずり回り、汗を流し、誉を上げて手に入れたものだ。そして、その金があれば他に光_忠のほしいものは、いくらでも買えたろうに、そうはせずに俺に差し出した大切な金だった。
言ってみれば、光_忠は奴にできる最大限のことをうんと頭を使って考え、それを俺に示したに過ぎなかった。それをなぜ俺が否定できたのだろうか。
だから俺は、あの金を受け取り、1日を光_忠の望むように過ごしてしまっても全く構わなかったし、実際、そうしたら光_忠は喜んで笑っただろう。

だがそうしなかった。

俺は、光_忠に、俺がただ一言「今日は一緒にいて」と言われれば、頷いてそばに座っていられるんだということを、知って欲しかった。
何なら、着物の裾を少し引っ張るだけでも、何でも良かった。
俺が頷くのに、何も理由など必要なかったのだから。

光_忠が友人を作りたい、と外に出かけては失敗して俺の部屋に帰ってくるのを、俺は何度も見てきた。
これからも、何度も見ることになるだろう。
だからといって俺は光_忠に何も言わないし、ああしろ、こうしろ、とアドヴァイスなど、一切しない。光_忠は、何も間違っていないと思うからだ。

#「友達がほしいだけなのになあ、僕」

部屋で気怠げに寝転び、投げ出した脚を時折ぱたぱたと揺らして奴は言う。俺は主に任された書簡に目を通しながら、奴の話を聞いている。

#「ねえ、友達ってどこに行けば売ってる?トーキューバンズ?」
#「ねえ、長谷部くんってば!聞いてる?」

ああ、聞いているとも、お前の話はいつでも聞いている。
まずはトーキューバンズに、粘土を買いに行こう。
(トーキューバンズに売っている燻製器を買ってスモークサーモンを作りたいので)付き合ってやらんでもない。

>TTT

俺はこれでも、光_忠にデロデロに甘い自覚がある。
奴の愚痴も、時にはヨソで作ったいい相手の惚気も、なんでもない話も、たいていは鼻で笑いながら…おっと、真面目に聞いている。

だが、「でね、僕、チャックに股間をはさんで、ふう…ってアセンションしてたんだよ」と言った時は、さすがにドン引きした。
おまえ、それは、ないぞ。
長谷部、フォローできない。

#ひどいよ!長谷部くん!少しぐらいフォローしてくれてもいいじゃないか!わーーーっ!

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