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途中下車
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206 :
忍足謙也
2009/11/14 21:59
左手に納まる指輪。今ではもう身体ン一部みたいに当たり前に其処に在る。初めて指輪を嵌めて貰った時の事も、一緒に新しいのを選びに行った時の事も、其れを御互いの左薬指に嵌め合った事も覚えてる。初めは右手。少ししてから左手に嵌めて貰ったなァ。一週間だけ御前に預けた事もあった。手元に返って来た時には内側に俺等だけの文字が刻まれとって御前からの最後の贈り物になるハズやった事とか。買いに行った店出たとこでキスされた事も新しい指輪に変えた時かて俺が前のン捨てんとっててごねた事かて。
御前が傍に居ると其処だけ世界が切り取られた様に鮮明に、俺の視覚聴覚嗅覚触覚全てて感じ取ろう、記憶しようてなるんや。
出来事を想い出す。御前の声、御前の表情。御前の温もり。俺の感情、体温が蘇る。
そして、御前に逢いたくなる。声が聴きたくなる。触れたくなる。愛しさが溢れてどうしようもない。
蔵ノ介、蔵ノ介、蔵ノ介
唇が御前の名前を紡ぎ出す。自然に、習慣化して、無意識に。
目覚めたら、一番最初に御前に口付けしようか。
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