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春眠
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265 :
仁王雅治
2008/10/07 21:05
金糸雀は彼の人の元で暮らし続けた、其れは倖せそうに耽美な歌を奏でながら。
時折、彼の人が外出をする時は一人窓の隙間から身を忍ばせて月夜を見上げる。
其処から馨る芳香に金糸雀は次第に心を奪われ、そして思い出す。嗚呼、此の馨りは彼の人が好きだと云った金木犀の馨り。
一年前の或る日、舗装された道路に沿って佇む木々を二人見上げながら嗜んだ馨りは如何やら脳裏に深く、深く焼き付いて居た様だ。
10月、彼の人が留守の中一人嗜む其れは愛しくて切なくて、奏でる歌は自然と恋の歌と成って居た。
俺は、其の金糸雀を愛しく憶う。
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