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春眠
 ┗427

427 :仁王雅治
2009/04/24 23:57

或る寒気厳しい夜の御話。逢瀬の帰り道、互いに逡巡に籠もり口数が段々と数少なくなって行く。喩えば離れ難いとか、次回は何時其の温もりを得られるだろう、とか多分他愛の無い事を巡らせて居るンだろう。赤信号で有る短時間すら惜しんで、呼吸一つのコンマすら惜しんで傍らに居たい、と。
懐嚢に差し込んで居た指先、暖を取って居た筈が不意に触れた冷気に手先を強張らせる。不意に、は大袈裟かも知れン。心の隅で、何処か然う期待を寄せて居たのかも知れンから。
暗がりの中、寒気で張り詰める空気が和らいだのは月明かりからも隠すかの様に懐嚢の中で繋がれた指先の所為。多分、寒さや忍ぶ事は唯単の後付で其れが歴とした独占と気付いたのは随分後の事だ。

繋いだ指先で、相手の甲を数回ノックする。
然う、其れが愛してるのサイン。


夢路への直前、「ポ/ケッ/ト」を聴いたが故の夢。俺の冷えた指先に触れ、冷たく為ってると強く握り締めた。

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