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春眠
 ┗443

443 :仁王雅治
2009/05/15 21:54

幼少の頃、姉貴が誕生日に両親からプレゼントされた万華鏡が俺の気に入りだった。片手で丁度足りる年齢だった俺は産まれて初めての万華鏡に見惚れ毎晩姉貴の部屋を訪れては天井へ筒を向けてクルクルと回し続け、何時の間にか其れは俺の所有物と化して居た。飽きる事無く幾度も変わり行く模様を愉しみ、時には光の差し込み加減で変わる色合いに毎度新たな発見をする程。
年齢を重ねる毎に万華鏡を手にする時間が減り、何時の間にかクローゼットの隅へと追い遣られて気が付けば消息不明に。其れを思い出した途端、何故かソイツが恋しく為りクローゼットの中を隅から隅まで探し漸く埃を被った其れを見付けたンじゃ。
覗き込んだ筒の中、過去の記憶が脳裏に蘇る感覚。然う言えば、ゴールデンウイーク中に立ち寄った店にも沢山の万華鏡が置いて有ったなァ。今時だと筒状の物だけでは無く様々な趣向が凝らされとる。如何も、其の綺麗さに心惹かれンのは変わらないらしい。(赤也や丸井辺りに口走れば確実に笑われそうだがの、)
過去も現在も未来も変わらぬ美しさを持つ万華鏡に、羨望すら抱いた。


祝辞時に限らず母の日等々感謝の意を表す時に、俗に花を贈る習慣が有る。俺は其れがとても好ましくて、如何しても気持ちを花に籠めたがる様だった。唯一輪でも、御前のささやかな笑顔が其処に在るなら十二分の価値が有るだろう。歓んだ表情が如何しても見たくて、綴ってしまう事も贈る事も癖に為ってしまいそうな予感。嗚呼、なン、貢いどる訳では無ェぜ。
444頁、俺の好きな数字の4がゾロ目と云う素敵な頁を大切な大切な大切な友人へと託す。可愛く鳴いて呉れよ、ナァンテ。

 *

宛先不明で舞い戻る手紙。分かって居た筈なのに、指先が鈍った。嗚呼、最後の願いが風化出来ずにさ迷う、何て事だ。

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