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春眠
┗463
463 :
幸村精市
2009/08/01 19:43
坂道の途中、少女は出会う。隔たれ離れ離れの二人が偶然と言う運命の儘に顔を合わせ肩を並べ他愛の無い話を交わし合い、時には既に解けてしまった赤い糸を思い焦がれた。同時に其処に在る壁を疎ましく感じながら。
場面は飛び一つの部屋、多分其れは相手の自室。(今思うと何故自室、夢は本当に突飛だ。)純白のシーツ、木製の机、写真立て、そして花柄のレターセット。少女はレターセットを手に寝具へ、黒インクのペンを思う儘に動かし相手へ感謝の意を綴るが何処か頭で思案する事が胸に落ちて来ない。
苦悩の儘シーツに鼻腔を埋めた瞬間に触れる懐古の芳香、一番身近に在っただろう其の馨りに眩暈すら覚える。ストン、と落ちる其の想いを口に出来ない想いを、最後の一文に乗せて其の儘眸を伏せた。
伏せたと同時に目が覚め、薄暗い世界に少女と成って現れた様だった。俺の中に住み着く様に彼女は笑って居たから、二夜も続けて夢で出会うのだろうね。締め付けられる感覚に眉を顰めた所で彼の子の結末を見届ける事は出来やし無いのに、脳内で描くしか他に無かった。途切れ途切れの、繋がらないストーリーの中に真意は存在するのかも知れ無い。
金木犀、君は其の馨りが好きだと呟いて居たね。
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