top
┗
Aについて。
┗102
102 :
跡部景吾
2009/12/06 21:46
試験が近い。
ノートを見直す合間にこうして日記帳に浮気をしているわけだが、筆を取った所で何を書こうかと悩むほどに俺の日常は平坦で平和だ。
部長である俺の趣味がテニスだなんて、仕事が生き甲斐のエリート野郎と大差ない人生だな。
効率思考を持つ俺はどうしても無駄な時間が嫌いだ。
だが、矛盾して無駄な事をする時間を無駄じゃないと感じたりもする。
その時したい事は「無駄な時間を過ごす事」なのだから、それはイコール無駄じゃないって事になる。妙な理屈だが。
勿体無いなんて言葉に踊らされて外出し疲弊する方が、余程無駄に感じる。
ンな屁理屈を捏ねながら携帯を弄る生活の方が充実する日も確かにあるわけだ。
試合前の心地良い緊張感。週末、恋人の為に用意したサプライズイベント。HMVで取り寄せた、とあるアーティストの新譜。
放課後、決まって寄り道する喫茶店の、鼻腔を擽る濃厚な珈琲の薫り。
掛け時計の秒針が刻む音を聞き、それらをふと思い出す一人の時間が好きだ。
ノートの上にペン先を滑らせながら、頭の片隅でAを思う。
傍にいない時ほど、相手を近く感じるのは何故だろうか。それが妙に面白い。
恐らく、最も無駄な時間はそれを無駄だと思う心で、有意義な時間とはそれを感じる心だ。
模試は近いが、季節の香りを楽しむだけの感受性はいつでも持ち合わせていたい。
ああ、Aとキスしてえ。
集中力を奪う俗な思考こそ、俺にとっては極上の贅沢だ。
[
返信][
削除][
編集]
[
Home][
設定][
Admin]