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Aについて。
 ┗120

120 :跡部景吾
2009/12/30 10:16

Aの伸びた前髪が、ここ最近ずっと気になっていた。
本人に財布ごと渡して切ってくるよう促しても『まだ早い』『金が勿体無い』『黙れハゲ』の三拍子で返され続けて、今日の今日まで放っておいたが。
一昨日、風呂上がりに目元がすっぽり覆われているのを見て決意した。これはもう俺が強引に切る他ないってな。

で、昨晩は予定通りにバッサリと。
(それなりに揃ったから良かったものの、他人の髪を切るのは初めての経験だった。…ま、結果良ければ全て良しだろ)
恋人バカの感性なんざ当てにならないモンだが、眉のラインまで前髪が退いたAの顔は中々に整っているんじゃねえかと思った。
世の中を斜めに見据えてそうな目付きの悪さは目を瞑るとしても、全体的なバランスは悪くねえ。
ずっとその長さを保つように言い付けたが、ポリシーだからと一蹴されて終了。
何がポリシーだ。ンなモン、和食趣味と一緒にドブに捨ててきやがれ。

その後、切り過ぎたんじゃないかと前髪を摘むAを脱衣所に連れて行き、美容師よろしく洗髪までしてみた。
恋人の髪を洗うってのは、甘いような、預けられているような、愛でるような、形容し難い不思議な気分だな。
無防備に晒された項を見て、これ以上なく「恋人」を感じる一方、ここから噛み千切ったら死んじまうんじゃねえか、などと猟奇的な事を不意に考える。
柵のない高所から地上を見下ろして、生を感じるような感覚だ。
Aが本当に無防備で、無防備すぎて、途端に細く思える。全部俺のものだ、と思う。

Aの髪が乾き切るより前にセックスをした。繰り返す行為の中で、もうこれ以上は無理だと何度か懇願された。
それでも、焦がれるほどに足りない気がしている。

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