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Aについて。
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127 :
跡部景吾
2010/01/20 00:27
『付き合う付き合わないに拘りはないんだ。僕はこのまま彼を愛せる事が幸せで、毎日言葉を交わせるだけで満ち足りる』
どこかで聞いた事のあるフレーズだと思った。
自分も使った事のあるフレーズだと思った。
そして、関係に名前を付ける事に拘らねえこいつらは、いつかデキちまうんだろうな、と思った。
それを語る男の、満ちたような、もどかしいような視線の先に過去を投影する。
恋愛から肉体関係を差し引いた全てのものを貰っている状態か、と断定気味に問い掛けると、まさにそれだと男、…不二は笑った。
そんな答え合わせな言葉を聞く度に、意識の片隅で、色褪せたフィルムを鮮やかに現像する。いつかのAを男に重ね見る。
悪くない憧憬だと思った。
男との会話を終えた後、妙に充実した気分でマンションに帰ると、Aが玄関まで出てきて遅くなるなら連絡しろと不貞腐れた顔をした。
その声を無視して腰を抱くが、Aは抵抗しない。
怪訝そうな視線を無視してキスするが、Aは抵抗しない。
俺はそれだけで、ただそれだけの事で満ち足りてしまう。
『僕達には果てが想像できないんだ』
だろうな。未だに俺も分からねえよ。
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