top
Aについて。
 ┗134

134 :跡部景吾
2010/05/18 02:21

久々に実家で過ごしている。

名も知らぬ使用人の挨拶を背に受けながら階段を上ると、最後の段を踏んだ先に見覚えのない油絵の風景画が飾ってあった。
両親の前で優等生を気取った後、自室の扉を開ける。
生活感のない風景。棚に並んだ本の匂いだけが僅かに鼻腔を擽る。
確かに、確かに時間は流れているのだと感じた。

思えばこの二年間、日が空く事もなく当然のように日吉と暮らしている。
時々こうしてマンションを空けると、その生活に違和感すら覚える程だ。
ここで生活していた事をぼんやりと思い出す。
アイツの欠けた夜を、読書で、あるいはラケットを振る事で潰していたわけか。
俺はその日常を、この部屋の扉の内側に置き去りにしちまってたんだな。
それを思うと何故だか笑えた。
それから日吉の事を何度も考えた。

思い返すと、日記を手紙代わりにする習慣を忘れ始めたのは、この家を出たばかりの頃だった気がする。
不完全ながらも時間の拘束から逃れて、喉奥に詰まる言葉をペンに託す必要がなくなったからか。
握ったそれの感触が、今この瞬間も記憶を蘇らせてくる。
…なんだかな。たかが一日二日留守にするだけで、伝えられねえ言葉を残そうとする俺も随分なモンだ。
あの頃と変わらず、俺はお前に焦がれている。

『飽きる飽きないの存在じゃない』

今も当時の台詞は有効だぜ、日吉。



確かに一人で過ごす夜は快適だ。
何もかもが物足りない程にな。

[返信][削除][編集]



[Home][設定][Admin]

[PR]♪テニミュ特集♪(携帯リンク)

WHOCARES.JP