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Aについて。
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44 :
跡部景吾
2008/06/04 19:34
Aの作った飯(味付けが若干薄い)を食らってる最中の話だ。
『いや、本当に言い難い話なんですが』
言葉とは裏腹に、淡々とした調子で『言い難い話』とやらをAから切り出された。
ボロネーゼソースのパスタを口元に運びながら、続く言葉を視線で促す。
『俺達学生じゃないですか。現実的に考えてマズいと思うんですよ』
『金銭面を頼る事になるかも知れません』
『いや、でも、まだ自分で調べただけなんで確定事項でもないんですが』
『こういう問題は最初にアンタに相談すべきだと思ったんで』
正直、何の話なのかさっぱり解らねえ。
というか、そもそも俺達の関係に婉曲表現での意志の疎通は成立しない。
主に俺側の性格的な問題で。
「藪から棒に金だ何だと物騒な話をしやがって。だから結局何なんだよ。妊娠でもしたのか?」
コーヒーカップに手を伸ばしながら冗談交じりに問い掛けると、Aは覚悟を決めたのか真っ直ぐに見詰めてくる。
そして、普段と何ら変わらない抑揚のない調子で、こう答えた。
『はい。そうです。妊娠しました』
…という夢を見たわけだが。
体格も含めた外見はそのままに『そういう機能』がある不自然さに加え、開口一番「デカした!」と答えた自分も一体何なのか。
「デカした」じゃないだろうが。「デカした」じゃ。
これは誰しもが一度は経験している現象だと思うが、現実的に考えてどれだけ異様な光景やイベント内容だったとしても、夢の中じゃ常識として脳にインプットされちまってるから不思議だ。
仮にAが女だったとしても、学生の身分でイージーミスを犯した挙句、手放しに喜ぶ己の本能が恐ろしいぜ。
知性(及び理性)ある大人を目指してえモンだな。
本人にこれを話すと案の定、そもそも日本じゃ同性婚は認められていないので、とクソ真面目に返されて笑った。
いや、限りなく確率はゼロに近いが、俺達が大人になる頃はどうなってるか解らねえだろ。
現代日本におけるセクシャルマイノリティ文化の浸透は近年著しいぜ。
というより妊娠してる時点で世間的には女の扱いなんじゃねえか?
…ああ、いや、違う。その前に親を説得しねえと駄目だな。まずはそこからだ。
ここはひとつ男らしく、土下座でも何でもしてやろうじゃねえの。
「お嬢さんとお子さんを幸せに出来るかどうかは別として、少なくとも俺は確実に幸せになれます。だから結婚させてください」
A、こんな挨拶はどうよ?
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