top
┗
Aについて。
┗7
7 :
乾貞治
2008/05/09 13:14
昨晩の俺はどう足掻いても疲れていたらしい。
何て事はないよくある話なんだが、自主トレの成果が予測したデータとは違った数値を叩き出してね、らしくもなく苛立ってしまっていたようだ。
普段なら汗を流す事で発散出来るんだが、それが原因なら手段に使えなくなってしまう。
そういう時は疲労感に身を任せて眠ってしまうのが俺の常だが、昨日はそうはいかなかった。
起きていたいと願う時ほど無駄に惰眠を貪ってしまうのに、人間とは不便な生き物だ。理屈じゃない。
布団の中で無理やり意識を殺したのは確か21時半頃。次に目を開けると……ああ、何時だったかな。
23時は回っていたと思うんだが、感覚が鮮やかな代わりに時間の概念が記憶から欠落気味だ。
とにかく、そこからはもう何をどうしても眠れなくて、嚥下しきれない苛立ちをついAに。
俺の腹の底には黒い欲望が渦巻いていて、それは普段こそ静かに眠っているが、確実に雌伏し、肉体を乗っ取る機会を静かに狙っている。
そして一度溢れ出すと抑えておく事が非常に困難で、誰かを思い切り壊してしまいたい衝動に駆られてどうしようもなくなる。
…ああ、似つかわしくない綺麗な比喩を使うなら涙と似ているかも知れないな。
完璧に塞き止めておいても、きっかけひとつであっという間に全て溢流する。そんなところが。
俺が「暴力的な性欲」と呼ぶそれを、皆はどう処理しているのだろうか。
もし誰かを傷つけるなら俺はAがいい。しかし、矛盾してAだけは選びたくないとも思っている。
一時の獣欲で関係を壊してしまうのはあまりにも愚かだし、そもそもアイツが受け入れるわけがない。
理性を保っていられる程度の冷静さは長所だと自負出来るが、破壊衝動を甘えに転換出来たのは何故だろうか。……データ不足。
電話越しに聞こえるAの声に集中すると、濁った感情がすっと浄化されていくのを感じた。
アイツの毒舌はシナプスを痺れさせ、くだらない感情を鈍化させる作用があるらしい。
そうだな、不埒な冗談を軽く躱してみせるスタンスも昨晩に関しては吉と出たようだ。
煽られたらどうなっていただろうかと想像すると恐ろしいよ。ハハ。
(仮定。Aは俺を軽蔑しただろうか?)
…おっと。そろそろ時間のようだ。ノートを閉じて教室に戻らなくては。
[
返信][
削除][
編集]
[
Home][
設定][
Admin]