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Aについて。
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73 :
跡部景吾
2008/06/27 20:54
屋上で昼飯、なんて青春真っ盛りな事をしてみる。
売店に売れ残ったサンドイッチと言えど、何割り増しか美味く感じられるあたり俺の感受性も捨てたモンじゃないらしい。
…あぁ、そうだな。井戸端会議好きのアホ二匹が隣に座って来なかったらこれ以上に季節を満喫出来てる筈だ。
だいたいにして他人の色恋事情なんざストーキング行為に及んでまで聞き出したい情報か?
『で、実際どんな感じなん?』『どーゆうことで喧嘩すんの?』
「喧嘩?しねえよ。したとしても俺が折れんじゃねえの。…っておい、ジロー、テメエは唾飛ばすんじゃねえよ」
『へー…』『あ、ワリワリ。にしても愛しちゃってんね~』
「まあな」
『うわ、さッむ』『そこでマジに返しちゃうの!?そこで!?』
「愛してるモンを愛してるっつって何が悪い」
『……うわぁ』『……うわぁ』
何故勝手に訊かれた挙句、寒々しい視線を送られなきゃならねえんだ。
日本人の美徳を俺に求めるのが間違ってんだよ。それともポエミーに暈した表現でも望んでたのか?
…しかし、俺の恋人が『カノジョ』である事を疑わないこいつらは、実際の相手は男、しかも部の後輩と知ったらどんな顔をするんだろうか。
いっそバラして驚いた顔を拝んでやろうかとも思ったが、勿論やめた。
一時の悪戯心で偏見の対象に成り下がるのはバカバカしい。
そうして理性で抑えても、時々、無性に惚気たくて仕方ない時がある。
Aがどれだけ可愛いか、頼りになるか、魅力的か。そしてそんなAの恋人が、他でもない俺である事を。
Aを独占したい気持ちと見せびらかしたい気持ちで揺れる。
随分と寒い男に成り下がったモンだ。
唾を飛ばし続けるジローが、お前はもっとチャラいヤツだと思っていたと言う。
いや、多分チャラいぜ。チャラい男が、一途になるほど夢中になってるだけだ。
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