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昭和純情タンホイザー
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272 :
跡部景吾
2010/10/12 00:17
―――とりあえず、誕生日のことから書こうじゃねェの。
朝起きて直ぐには、執事をはじめ使用人たちが。学校に着けば生徒会室、昼は学食のコックたち。放課後には学内のメス猫共が、部活が終われば部員から。
朝昼夜のそれぞれの演出とメニューでもって、皆それぞれが俺様の誕生日を祝わってくれた慌しくも歓びに満ちた一日。
ゆったりと風呂に入り疲れを癒し、寝室に戻れば微かに人の気配がする。
普段通りのベッド、その枕の上に明らかにうちの庭のものじゃねえ大輪の、深紅の薔薇が一輪。茎には、シンプルな青いリボン。…そっけない白いカード。
>誕生日おめでとう
差出人こそ書いちゃいねェが、その文字で俺に解らないとでも?
あァ、解るからこそ書いてねェのか。
だったら、何故、ここに居ない?
(相変わらず腹の立つ野郎だ)
俺の答えは、最初から解っていた筈だろう?
それでもお前は、歩みを止めることはしなかった。大体お前は、何を望んだ?其れを口にすることで、何かが変わるとでも思ったか?なァ、忍足。お前こそ、俺が誰か一人の為の何かになるなど、想像も出来ねェくせに、な?
最初から、云ってある。お前の為の席は、用意してあると。其処は、お前の為だけの席。お前にしか座れない席。
――但し、それ以上はねェ。
その席において、俺がお前にやれるものはやった筈だぜ。
そうだな、確かにバランスは崩れたンだろう。
だが、一体それがどうした?
お前が例え俺から与えられないものを望んでいたとしても、俺が例え、お前の望むものを与えられないとしても、俺は、お前の為の席を取り潰すつもりはねェ。
お前が、その席に座り続ける意義を見出せないとしても、な。
立ち去るも、座り続けるもお前の自由。
此処ではない何処かにお前が価値を見出すなら、それはそれで結構じゃねェの。ロマンチストの価値なんざ、俺様には不要だが。
後は、テメエの頭で考えやがれ。
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