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― 鉄線蓮 ―
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76 :
柳蓮二
2009/05/13 03:53
伸ばした手は宙に留まる事無く暖かな掌に掬われた。永遠を夢見る程愚かにはなれず独りを選べる程大人でも無い。何故に俺は今こうして光を見上げているのだろう、真っ白で汚れ無き体温が初めて恐ろしいと思った。同時に酷く救われた、御前は此の汚れた手と共に中身までをも掬い上げたとでも云うのか、数字や確率に縋らなければ答えを見出せない俺は本当にどうしようも無い男だと改めて思うよ。
どうか、溺れてしまう前に呆れてくれ。
俺は御前が云うような白では無いと気付いて欲しい。でなければ、本当に。相も変わらず臆病で卑怯な俺は矢張りこうして絶対に気付かれない場所でしか言葉を紡げないようだ、全く救えないにも程がある。
鳴り響く足音が一つから二つに変わる。
(見上げた先は青空。振り向けば灰色)
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