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多重風雅。( special THX!)
 ┗468

468 :仁王雅治
2010/09/30 04:44

>> Thursday、




木曜日に成ったンは午前3:59、
...ticktack、ticktack、

:

半身浴中な俺の御帰りの声が、小さなバスルームに木霊する。

- -

一頻り絞られちまった木曜日。
既に筋肉痛に近ェモンを訴える、疲れた身体を引き摺って開いた部屋の扉。深夜の廊下の蛍光灯は無機質に白くて、俺を出迎える気なンざまるで無ェかの様に他人顔。取り出した合鍵。やけに響く、開錠の音。ゆっくりとドアノブを開く。無人の1R。嗅ぎ慣れた匂い。今日も部屋の主は不在。
テーブルに据え置かれた豪華な寿司は、置き手紙こそ無かった物の今夜の俺の夕食らしかった。誰の目も無ェのを良い事に、行儀悪く一口、穴子を口に放り込む。甘辛く舌の上を踊る独特の風味。口にしたネタは味ばかりが妙に出来過ぎちまって、其れを夜中に一人で食す俺を何処か嘲笑う様にも思えた。被害妄想。妄想で在りながら或る意味現実。即席で作った澄まし汁。二人分作りゃア良いのか迷った末、結局鍋に掛けたヒトリブンの水嵩を二倍にした。無駄に成っちまうかも解らねェし、然うじゃ無ェかも知れねェ。
突如鳴った携帯がメールの新着を告げる。其のメロディの続きを鼻歌で続けながら、ガスレンジの前で卵を溶きつつ、サーモンを一口。用意された寿司は恐らくは二人前。彼奴がどのネタが好きか解らねェから取り敢えず、勘で選んで口に放り込む。鮪は無難じゃし残しとく、か。

:

暦の変わった、神無月朔日。
時刻は、午前4時22分。

:

御前サンが帰って来る迄の、読めねェ時間が、意味を成し得無ェ空白の様に思える。俺等の重なる時間は、今日は3時間か、1時間か。

其れとも、零、か。

俺が部活に出掛ける迄の時間、支度をする俺の傍らで、懸命に話をする御前サンの声が好きだ。一日の出来事やったり、懐かしいガキの頃の思い出話やったり、地元の話やったり。御前サンの可愛い自慢話やったり。
服位ェは着ろ、と言いてェ処。風邪が治らンくても知らねェぜ、と言ってるンやがなァ。其れも毎日。

辛そうに咳を繰り返し、掠れた声で笑う。訊かれる前に大丈夫やと、平気じゃと、首を振る。俺は御前サンの声が一等好きやけェ、頼むから其の身体は大事にして呉れ。素直に大人しく眠りゃア良ェンに。風邪拗らせて迄、俺に戯れ着く御前サンが。ホンに。イトシイ、ぜ。

そんな午前4時35分。
玄関の扉は開かぬ、儘。

そろそろ、夜が、明ける。

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