top
┗
多重風雅。( special THX!)
┗492
492 :
越前リョーガ
2010/11/13 02:48
:
解り易い夜の訪れと共に冷え込み始めた甲板から逃げる様にして、個室へ戻った。
波に揺れる、大海原の上。
:
夏の“日の長さ”を、恋しく思う。
手繰り寄せたく成る程に、曖昧に遠ざかる。
時々、過ぎた季節を懐かしンで辛辣な想いに苛まれはするが、其れでも亦新しい季節が無情に無常に無条件に廻って、来る。
生き急ぐ様に水平線に溶ける日没が、寂寥感を誘い、抗えない何かを謳う。
茹だる様な熱帯夜には彼れ程恋い焦がれた冷涼な秋風は、夏を過ぎちまえば唯、過剰に冷点を刺激する無慈悲なモノでしか無かった。
昼夜の気温差に肌を粟立たせて震えれば、白く照り付けた灼熱の太陽が恋しく成る。
砂浜の如く眩しいデッキを容赦無く照らした女神を疎ンだ夏。瞼の裏に思い描いて、夏の魅力を最大限に咀嚼しなかった事に後悔にも似た気持ちが渦巻いた。
もう直ぐ。此の海も厳しい冬に愛される季節が訪れる。
命の尊さを説教でもするかの様に厳格なカオをして。
:
隣の船室から聴こえる生活音に安堵する。時々湧く複数の笑い声に、例え他人の倖せで在ろうとも胸の中の細かい擦過傷の様なモンが修復されて往くのを感じた。
甲板で唄う楽団の無駄に陽気な四重奏が、風に流れて鼓膜を擽る。退屈な程、平和な夜が流れる。
船での生活に慣れた頃にゃ、興味の無ェジャンルの音楽だとかを聴く耳が出来ちまった。例えばオジョウヒンな室内楽だとか。
海の上で拾える電波は限られちゃ居るが、noiseに塗れたラジオのDJの軽快な発音に変わらぬ日常を見出す。コケティッシュで流暢な声質が耳に優しい。
煌びやかで華美な客船。イルミネーションに包まれて秋の夜を割る様にしてゆっくりと進路を渡る。船室の外は何時だって黒い波が船体に押し寄せて、油断してりゃア呑み込まれちまいそうだ。
墨汁の様に真っ黒な重たい波。ザブリ、と散って、闇に帰る。
俺も、其処へ呑まれちまいてェ気に、――成った。
tennisの存在だけが、恐らく俺に其れを実行させねェ唯一の、stopper、
- - - - -
Happy B'day to my sweet...,
without ×××、
×、×、×、
[返信][
削除][
編集]
[
Home][
設定][
Admin]