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多重風雅。( special THX!)
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496 :
越前リョーマ
2010/11/17 13:21
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ずっと。風邪を引いて居たい。
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深々と降る綿の様な、雪。
分厚いカーテンから漏れる雪の光が、疲れた様に微笑う其の輪郭をぼンやりと浮かび上がらせた。
何時もはピシリとしたシャツが、草臥れて居たのがやけにリアルで、らしく無くて、熱に浮かされながら涙目で微笑った。
御早うと、御疲れ様を迷って、結局“オカエリ”、と然う云った。
無意識に伸ばした掌は彼の人の頬を覚束無い調子に捉えて、言葉の代わりに耳朶を擽った。
聴覚さえ刺激すれば、アンタに届くと思った。
浅はかでも構わなかった。
柔らかな髪が、熱を含ンだ指先に絡ンで真綿の様に締め付けた。
血色の良いとは言い難い肉厚の唇が微かに動いて、聴き取ろうと頭を起こそうとした俺の其処とゆっくり、重なった。
其れは雪の様に冷たくは無かったけど、雪の様に溶け落ちて、消え入りそうで怖かった。
アンタの纏う空気は、真冬の月明かりの様だなと感じた。
先刻止ンだ雪が亦、降り出しそうな気配を醸し出す。
静かな夜だった。
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――…其ンな、明け方のユメ、
:
ねぇ。
誰も知らない世界に行こうか。
そしてアンタと二人、見た事も無い景色の中で、雪みたいに溶ける。
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